アーナンダよ。修行僧たちはわたくしに何を期待するのであるか? わたくしは内外の隔てなしに(ことごとく)理法を説いた。完き人の教えには、何ものかを弟子に隠すような教師の握拳は、存在しない。
(『ブッダ最後の旅―大パリニッバーナ経―』中村元訳、岩波書店〈岩波文庫〉、2007年、p.62)

上によれば、釈尊は、握拳(にぎりこぶし)の中に秘密を隠すことなく、少しも出し惜しみをすることなく、教団の内と外との区別なしに、ことごとく理法を説いたとのことです。これこそ、人々のために、自分の出来うる限りをつくし、惜しみなく与え切った生き方であるように思います。