統合スレにて、ファルコン氏が紹介していた『スターメイカー』を読んでみた。あらすじは、地球人である主人公が、意識体となって宇宙を旅し、さまざまな宇宙人の心に寄生しつつ、その文明、歴史等を観察、批評するというものである。
自分としては、においに敏感な人類や、船人類の話は特に面白かった。あとは波長同通に関連した記述には興味深いものがあった。たとえば次のように。
自分としては、においに敏感な人類や、船人類の話は特に面白かった。あとは波長同通に関連した記述には興味深いものがあった。たとえば次のように。
以前わたしを〈別地球〉へと導いた星間旅行のとき、わたしはわれ知らず二つの飛行の方法、ひとつは宇宙を肉体なしで飛ぶ方法、もうひとつはわたしが「心的引力」と名づけた方法を用いていたのである。この心的引力は、精神を直接に、おそらくは時空間のはるか遠くへと冒険に乗り出すときに、探訪者と精神的に「波長の合う」ある種の異郷の星へとテレパシーで転送する力であった。わたしを〈別地球〉へと導くにあたって、実際に主要な役割を担ったのは、この方法であったことは明らかである。二つの人類が著しく類似していたおかげで、わたしの闇雲な星間飛翔のいずれにもまして、はるかに効力ある強大な「心的引力」が作用しはじめたのだった。ブヴァルトゥとわたしが今なお試行し完成させようとしているのは、この方法なのである。(オラフ・ステープルドン『スターメイカー』浜口稔訳、図書刊行会、1990年、pp.100-101)
ここでは、波長同通は、法則というよりも、方法というニュアンスが強い。広大な宇宙空間で、人類の住む星を見つけるのは難しいが、心的引力を用いるならば効率的に人類の住む星を見つけることができるという風に。
ただ別のところでは、波長同通を法則としてとらえているっぽい箇所もある。
ただ別のところでは、波長同通を法則としてとらえているっぽい箇所もある。
新たに見いだされたわたしたちの共棲的精神が、かなりの高さの覚醒にまで至ったため、わたしたち地球人類の精神的水準をはるかに超越した緒世界とも接触を確保できるようになった。(同上、p.191)最初のうち、わたしたちおのおのの世界の経験のせいで、わたしたちの想像力が厳しく限界づけられていたときは、わたしたちとかなりよく似た世界としか接触できなかった。 [省略] いかなる世界に侵入しようとも、わたしたちと宿主のあいだには、必ずといってよいほど根の深い類似性や同一性が見てとれたように思われた。(同上、p.104)
また次の部分では、共に旅する仲間、共棲者がいるほど、想像力は膨らみ、より広い世界と接触できるとしている。
どの世界を訪れても、その世界への洞察をもたらし、銀河のさらに遠方へと探索するために、わたしたちの想像力を極限まで拡張してくれる協力者を見つけ出すことができた。仲間が増えていく、この雪だるま方式は、わたしたちの力を巨大なものにしたので、ことのほか重要であった。探索の最終段階には、助けのないひとりっきりの精神にはとうてい手がとどかない数々の発見をしたものである。(同上、p.105)
上の設定を、霊界通信に当てはめるとこうなるかもしれない。
・波長同通とは乗越えることのできない絶対の法則ではなく、霊界通信を送る相手を効率よく見つける方法、技術である
・波長が同通しなくとも、自分の想像(認識)の範囲内にある相手であれば、霊界通信できる
・協力者がいれば、より広範囲の相手と霊界通信ができる
・波長が同通しなくとも、自分の想像(認識)の範囲内にある相手であれば、霊界通信できる
・協力者がいれば、より広範囲の相手と霊界通信ができる
こういう設定は、幻想小説やスピリチュアルエンターテイメントとして活用できそうな気がする。ステープルドンの著作は、さまざまな物語のネタ本になっているともいうが、さもありなんと思える。