宗教のよいところは何だろう? つらつらと考えてみると、物事に意味を与えてくれるところかなあと思う。たとえば、宗教は、人生の苦楽について、〇〇のためだとか、××の報いだとか、いろいろに意味づけをしてくれる。

「この苦しみは、神から与えられた試練です。これを乗り越えたら、祝福が得られます」「善行は、天の蔵に富を積むことです。善いことをすれば、天国に行けます。善いことをしたのに報われないということは決してありません」など。

こういう意味づけを信じることで、人は安心したり、勇気をもてたりする。たぶんこれが宗教のよいところなんだろう。宗教は、人生に意味を付し、前向きに生きられるように手を貸してくれる。

ただここで気になるのは、宗教に依存しすぎて、宗教がなければ善く生きることができなくなってしまうことだ。ここは注意しなければならない。というより、本当は、宗教的な意味づけなしに、善を選べるようになるのが理想なのだろうし、宗教によって善を選べたからといってそれで満足してはいけないのだろう。宗教は頼るものではなくて、乗り越えるべきものなのだと思う。〈了〉