日本会議の研究 (扶桑社新書)
『日本会議の研究』は随分と評判になっていたし、前々から読もうと思っていた本であるが、先日ようやく読むことができた。ただその内容についてはある程度聞いていたせいかさほど衝撃はなかった。それよりは、日本の政治を背後から操っている団体がある、その正体は…とか、その黒幕は…みたいな話の流れのせいか、ついついムーブックスを連想してしまった。著者はさまざまに取材を重ね、資料を調べて書いているのだろうから、この連想は見当違いだろうけれども、それでもこんな流れだとやっぱりムーブックスを連想しないではいられぬのである。
 でもこういう本を読むと、自分の政治的な立ち位置は一体どこなんだろうなと自分のことながらよく分からなくなる。以前、筑摩書房の現代日本思想大系をななめ読みしたときは、保守主義についての巻は違和感なく読めたが、ナショナリズムでは首を傾げ、超国家主義ではとてもじゃないがついてけないという心持ちになったのだった。これからすると自分は保守なんだろうと思うのだが、現代の保守とされる人たちの人権感覚には腹が立つことがちょいちょいあるのでこの点では自分はひょっとしたらリベラルなのかもしれぬ。日本会議についても、その考え方には同意できる部分はあっても、人権方面については共感できなそうだし…。どうも自分が共感、支持できる団体は、左にも右にもなさそうだ。現実的には、A団体より、B団体の方が自分の考え方に近いからこっちを支持するとか、C団体の考え方は有り得ないから支持しないとか、大雑把に判断するしかないのだろうけど、考え方がピタリと一致するところが見当たらないというのは正直なところちょっと寂しくはある。でもまあこれも致し方ないか……人には個性があり、人それぞれ考え方が違って当たり前なのだから、それがピタリと一致する人、団体を期待するのはどだい無理な話ではある。