『ヨブ記講演』内村鑑三著
 内村鑑三の『ヨブ記講演』はいつか読もうと思いつつ積読状態が続いていたのだが、今日はようやく開いてみることができた。内村鑑三の文章は難しいイメージがあったのだが、本書は講演録であるためか思っていたよりずっと読みやすくてうれしい。適度に段落分けしてあるのもありがたい。
 まずは「第一講 ヨブ記はいかなる書であるか」を読み終わったが、このまま読みっぱなしにするとすぐに忘れてしまうので、ここに内容をメモしておく。

  • ヨブ記…発端1、2章、絶頂19章、終尾42章。
  • 旧約…はじめ17書(歴史)、おわり17書(預言)、中間5書 ヨブ記、詩篇、箴言、伝道の書、雅歌(心霊的教訓)。
  • 新約…はじめより使徒行伝まで(歴史)、おわりの黙示録(預言)、中間の書翰(霊的実験の提唱、教理の解明、教訓)。
  • ヨブは異邦人…聖書はイスラエルの人々に限らず、普遍的人類的経典であることの証。ヨブは、ウズの地(異邦の地)に住む。
  • ヨブ記は文学書としても思想書としても読むことは可能だが、信仰によってこそ了解できる。
  • ヨブは神より解答を与えられていないが、それで満足、歓喜している。神との出会いがありさえすれば、明確な解答がなくともそうなる。

 以前、ヨブ記を通読したときは、最後に明確なこたえがなくて肩透かしを食った気分になったのを覚えているが、内村鑑三の言葉を読んで、こたえがないことにいくらか合点が行った。その存在を感じさえすれば、何の言葉がなくとも、癒され感涙にむせび幸福感に包み込まれるという感覚は分からなくもないので…。