前記事で書いた『日本現代 怪異事典』のケセランパサランの項を見たら、ケセランパサランについて「江戸時代にはすでに語られた記録があ」(p.147)るというので、江戸時代の怪異譚に興味がわき、本書を見てみた。
子供向きの本なので怖くはないし、誰でも知っている怪談が紹介されているのではあるが、改めてそれらを読んでみると、主人から虐待された女、夫から毒を盛られた女、男に襲われ殺された女、恋い慕う男に煙たがれ嘘をつかれた女など、かわいそうな女の話がやたらと多いのには驚かされた。
なんだかこういう話ばかり読んでいると幽霊は怖いというより、かわいそうになってくる。小さかった頃は、大人が幽霊はかわいそうだというのを聞いても、その意味はさっぱり分からなかったが、今になってようやく分かってきた気がする。
本書の第4章では、「稲生物怪録(いのうもののけろく)」が紹介されているが、主人公の屋敷で家具が空中を飛び回るポルターガイスト現象が起きたり、さまざまな人物が物怪退治に訪ねてくるだとか、現代の視点からみてもエンターテイメント性が抜群の物語となっている。
当時はこういう話がウケていたのだとすると、今も昔もアクションホラーのファンは沢山いるということなのだろうな…。