『14歳からの哲学入門』飲茶
 これはしばらく前に通読したことがある本だが、すごく面白かったので、また読んでみた。やっぱり面白い。おかげでぐんぐん読める。哲学史についての本を読むと、古い話は理解できても、現代に近づくにつれて難しくなり、最後まで読むのは大変だが、本書はそんなことはなく、最後まで楽しく読めるのがうれしい。というか、先に進むほど面白くなっているとさえいえる。
 書中では、「たいていの構造主義の入門書は難しい。読んでもわかった気分になれないような本が多かったりする」(p.230)としているが、本書はそのような入門書ではなく、十分に「わかった気分」にさせてくれる本だ。
 当然ながら、これはあくまで気分でしかなく、本書を読んだだけですべてを理解したと勘違いしてはいけないのではあろうが、入口でつまずいで退散させられるより、一時的にでも「わかった気分」にさせてくれて、もっと深く知りたいと思わせてくれるのは有り難いことである。
 ちなみに本書で取り上げているのは、ニーチェ、デカルト、ヒューム、カント、ヘーゲル、キルケゴール、サルトル、レヴィ・ストロース、ウィトゲンシュタイン、デルタ、ボードリヤールらであり、最後には、今後の哲学の可能性についても触れている。忙しくて全部を読む時間がなかったり、過去のことより、まずは著者の考えを手っ取り早く知りたいという人は、この最終章だけを読むのも有りだと思う。