『国際法で読み解く世界史の真実』倉山満著

 本書では悲惨な戦争の経験から国際法という考え方が生まれたこと、各国の外交姿勢や国際法に対する態度、近現代における日本の戦争と国際法との関わりなどについて語られている。著者の意見は人によっては右寄りと受け止められることもあるかもしれないが、自分にはほぼ真ん中と感じられ大いに納得できた。
 それにしても本書を読むと、日本という国は本当に自己主張が弱く、かつ下手だと改めて思い知らされる。日本はそういう国民性であり、そこに日本らしさがあるのだろうが、これがために国益を大きく損なうのであればこれを改善する必要はないということにはなるまい。
 よく聞く話であるけれども、日本的な美徳は、いつでも、どこでも、誰に対しても有効で、常に良い結果をもたらすというわけではなく、日本以外の国を相手にする場合は臨機応変に対応することも必要だというのは本当なのだろう。