超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか

*概要
 本書でとりあげられているテーマは、幽体離脱、超能力、降霊会、心霊体験、占い、マインドコントロールである。著者はこれらの原因は、トリック、錯覚、心理操作などにあるとしつつ、人の認知能力の誤作動、限界について詳しく説明している。
 以下に、本書中で特に興味深く思ったことをメモしておきたい。


*見たくないものは見ない
 まず一つは、ウォレスに関連した話である。降霊会における心霊現象を信じ込んでいる人が多いことを問題視したS・J・デイヴィーは自ら降霊会を催し、トリックを用いて多くの客たちを欺いたあとで、人はいかに騙されやすく、その認知能力は頼りないものであるかについてレポートをまとめたが、これに対してウォレスはデイヴィーは本物の霊媒師であり、降霊会における不思議な現象は真実であると強く主張したという。
 フォックス姉妹がイカサマを告白したあとも、フォックス姉妹の起こした心霊現象は真実だと信じ続けた人もいたということからすれば、ウォレスの行動は驚くべきことではないけれども、これは人は見たいものは見ても、見たくないものは見ないというのは本当だと思わせるエピソードではある。
 ウォレスは好人物であったというし、渡部昇一も高評価していたが、こういうところはいかがなものかとは思う。


*マインドコントロール
 もう一つは、マインドコントロールについてである。著者によれば、その手法には次のようなものがあるという。
  • 段階的要請法…はじめは簡単なお願いをし、その後、段々と頼み事の難度を上げていく。
  • 異論の排除…自分の意見(異論、疑問)を述べる者は排除する。
  • 奇跡の宣伝…リーダーは特別な力を持っていて、奇跡を起こせるとする。
  • 苦痛をともなう儀式…信者は苦痛を受けることで、その苦痛を無意味、無価値とは思いたくないために、信者を続けないではいられなくなる。
 自分は根が単純で、騙されやすい方なので、こういうことはよく覚えておきたい。