国民の修身

*全体の印象
 本書は、戦前の修身教科書(一~三年生)をまとめたものである。
 全体の印象としては、挿絵や仮名遣いに味わいがあって心地よいものになっている。旧仮名遣いの文章を読んでいると、いかにも書物を読んでいるという気分になる。
 内容については、自分は保守的な方なので、それほどの違和感はなかった。ただ皇室に関する記述については、戦後生まれの自分には分からないところが多かった。


*三箇所
 次は例のごとく、本書中、特に印象に残った箇所をいくつか挙げておきたい。
 まず一つは、雄鶏と雄鶏が喧嘩をし、勝った方が屋根に上がり、勝どきをあげて威張っていたら、飛んできた大鷲につかまったという話である。
 もう一つは、本居宣長の蔵書は膨大なものであったが、よく整理していたので、夜、明かりをつけなくても目当ての書物を取り出せたという話である。
 最後は、貝原益軒は大切にしていた牡丹を折られたときに、「じぶんがぼたんをうゑたのはたのしむためで、おこるためではない。」として、粗相をした者を許したという話である。
 こういう話は説教臭くて嫌いだという人もいるだろうけれども、自分にはどれれも面白かった。