『「原因」と「結果」の法則』ジェームズ・アレン著

*概要
 巷には「心が環境を決定する」という考え方もあれば、その反対に「環境が心を決定する」という考え方もある。どちらを支持するかは人それぞれであろうが、本書は前者を強く支持する立場で書かれている。
 したがって、本書では次のような言葉が繰り返し語られている。「完璧に清らかな人間には、苦悩はけっして訪れません」(p.35)、「私たちに苦悩をもたらす環境は、私たち自身の精神的混乱の結果です。私たちに喜びをもたらす環境は、私たち自身の精神的調和の結果です。喜びは正しい思いの結果であり、苦悩は誤った思いの結果なのです」(p.35)、「私達は、自分が望んでいるものではなく、自分と同種のものを引き寄せます」(p.26)。


*自己責任論
 これは自身の心がすべてを決定するという考え方からすれば、当然の帰結ではあるが、圧倒的なほど頑健な自己責任論であるため、自分自身の戒めとしてならともかく、他人に向けられたならば相当に危険な凶器となり得るだろう。
 個人的には人の能力では物事の因果関係を正確に知ることは難しいだろうと感じているので、心と環境はどちらがどちらを決定するとはそう簡単には断言できないとは思うが、人の一生には自己責任を強く意識すべき時もあるだろうから、そういう状況にある人にとっては本書を参考にしつつ生きようとするのは有意義なことであるかもしれない。本書を強く支持する人がいるのは、この辺りに理由があるのではないかと思う。