『真理の謎 心霊界の解明』 エンゼル森永著

*一歩前進?
 神智学には難解というイメージがあるのだが、本書は平易な入門書とのことなので、自分にも理解できるかもしれないと期待しつつ読んでみた。しかし残念ながらよく分からなかった。やっぱり神智学は入門書であっても難しい。
 ただそれでも本書を最後まで読み通すことができたのはよかった。おそらくこれまでに精神世界ものの本をあれこれ読んでいたので、その方面の用語にはある程度馴染みがあったからだろう。随分前に神智学関連の本を読もうとしたときは、ちんぷんかんぷんで1ページも読まないうちにあきらめたことからすれば大した進歩だと思いたい。
 また本書には神智学の説明とは別に、著者の述懐を記した箇所がいくつかあり、ここは平易な言葉で語られているおかげで、本書の中のオアシスのような感じられ、よい気分転換になった。これも本書を通読できた理由の一つだろう。


*神智学とスピリチュアリズム
 ところで本書のあとがきには、神智学とスピリチュアリズムの特徴について次のように書いてあった。
『神智学』は人間や宇宙の仕組みや存在の意義を客観的に説明している内容が多く、人生訓としての具体的な教えは少ないと言えますが、人はいかに生きるべきかの指針や信条は、エドガー・ケイシーやスピリチュアリズムの方に多いと感じます。

(『真理の謎 心霊界の解明』エンゼル森永著、エンゼル出版、2019年、pp.359-360)
 これは全くその通りだ。以前の自分がスピリチュアリズムに魅了されたのは元々人生論的なものがすきだったからだろうし、近頃になって神智学への関心が強まっているのは様々な思想宗教の人間観や世界観に興味を持ち始めているためなのだろうと思う。