*裏天とは?
 和辻哲郎の対談集を読んでいたら、「裏天」という言葉が話題になっていた。これは夏目漱石がとある人物を評して言った言葉であり、その意味は下記のようなものだという。
和辻 自慢しないことを自慢する、そういう矛盾した態度を戒めた意味もあるでしょう。
安倍 卑下慢という言葉がありますね。先生のはその意味なんです。表は謙遜して居るが、裏に慢心を蔵して居る。つまり天狗の表をひっくり返したことになるのです。

(『和辻哲郎座談』〈中公文庫〉和辻哲郎著、中央公論新社、2020年、p.349)


*やっかいなこと
 これは大雑把に言えば偽善ということになるのだろうけれども、たしかにこういうタイプはいる。そしてこのタイプは、ちょっと批判的なことを言われただけで激怒し、こんな風なことを口走ったりするからやっかいである。
「あなたにはそんなことを言う資格はない。私はあれもこれも知っているし、こんな実績もある。社会的評価も得ている。あなたはどうか? あれもこれも知らないし、私以上の実績もないのではないか? 社会的評価もされていないのではないか? そんなあなたの言うことには何の価値もない。意見を言いたいなら、まず私より上であることを示してからにするべきだ!」
 これは極端な例ではあるけれども、こういうことは現実にあるのだから困る。とりあえず、こういう面倒に巻き込まれないためには、裏天らしき人は下手に刺激しないことが大事なのだろうと思う。もちろん自分が裏天にならないように注意すべきことは言うまでもない。