楽山日記

ヤフーブログから引っ越してきました。特にテーマは決めずに書いてますが、スピ系の文章が多めです。若気の至りでハマってしまった宗教についても書いてます。よろしくお願いします。ヤフーブログの楽山日記と区別するために、ブログタイトルの末尾にLDとつけていましたが、ヤフーブログはなくなったので、末尾のLDも削除することにしました。

『はじめて読む聖書』田川建三ほか

はじめて読む聖書 (新潮新書 582) 51eptvrGv0L._SY425_

*興味
 本書には、田川建三のインタビューと、山形孝夫、池澤夏樹、秋吉輝雄、内田樹、山我哲雄、橋本治、吉本隆明、山本貴光の聖書に関連した文章が収録されている。
 自分は田川建三の名にひかれて本書を手に取ったので、その半生を語ったインタビューを一番に読んだのは当然として、その他には内田樹によるレヴィナスについての文章には強く興味をひかれた。ユダヤ教は自分にとっては縁遠いものだったのだが、氏の文章を読んで、それがどういうものなのか知りたくなってきた。


*新旧
 大方の聖書の入門書には、聖書には新約聖書と旧約聖書があると説明しているせいか、キリスト教とユダヤ教についても何となしに新旧に分けてしまいがちではあるが、これは偏見であってその中身については古いも新しいもないのかもしれない。
 福音書にあるイエスの言葉にしても、一見したところでは、斬新で、ユダヤ教の枠を飛び越えているように見えたとしても、実際にはすでにユダヤ教で説かれていたことだという指摘もあるし、そもそも真理というものは永遠のものであって、古いとか、新しいとかいうものではないのだ。
 とりあえず今後は、ユダヤ教に関連した本も少しずつ読んでみることにしよう。


懐疑主義の価値とは?(「煉獄のなかで」ソルジェニーツィン著)


*懐疑主義の価値とは?
 ソルジェニーツィンの小説を読んでいたら、懐疑主義の価値を語っている箇所があったのでメモしておきたい。
僕の懐疑主義ってのは、いってみれば荒天がすぎるのを坐って待つ路傍の小屋なんだ。だが懐疑主義は独断的な頭を救う一つの形式だよ。懐疑主義の価値はそこにあるんだ。

(「煉獄のなかで」『集英社版 世界の文学32 ソルジェニーツィン』ソルジェニーツィン著、木村浩/松永緑彌訳、集英社、1978年、p.44)
 これはとても共感できる言葉だ。恥ずかしながら自分は、軽率にも、とある新興宗教を信じ込み、他者からの忠告に耳を貸さずに入会してしまったという失敗経験があるので、懐疑というブレーキの大切さはよく分かる。
 宗教など、なにかを信じようとするときには、「これは本物だ! これこそ自分が探し求めていたものだ!」という直感だけで突進するのではなく、一度立ち止まり、多角的視点から慎重に考察し、独善的な判断を避ける努力をすることを忘れてはならないのだ。
 こういうことは信仰熱心な現役信者には理解され難いことではあるだろうが、宗教的熱狂からさめて、日常を取り戻した自分としては心から痛感していることではある。


『ブッダという男』清水俊史著

『ブッダという男』清水俊史著

*話題の本
 『ブッダという男』を読んでみた。業、輪廻、縁起、無我などの各論点について、仏典におけるブッダの言葉を踏まえた上で端的にまとめてある良書だと思う。


*相対化
 また本書では、これまでにブッダに関して唱えられた各説について、それを唱えた学者名を明示した上で批判がくわえてあるのはありがたい。『イエスという男』の田川建三氏も同様の書き方をしているけれども、これは本当にありがたい。
 恥ずかしながら自分のように無学で権威主義的な者は、学者間での議論に無知なままに、たまたま読んだ本に書いてあったことをそのまま鵜呑みにしてしまいがちである。でもそういう自分であっても、本書のように、誰それの意見にはどのような難点があると指摘してあれば、さすがにそういう間違いを犯さずに済むのだ。
 だから他の学者の意見に対する批判を、あいまいにして誤魔化すことなく、はっきり書いてくれる著者には心から感謝したい。ここは類書にはない、本書の特に優れているところだと思う。


*ブッダを語ること
 ところで、キリスト教の方では、「イエスを語ることは自らを語ることだ」という話があるそうだが、本書を読んでいて仏教でも同じことが言えそうだと感じた。ブッダを語ることは自らを語ることに等しいのではないかと。
 少なくとも仏典に基づいて語るならともかく、仏典から離れて自分自身の解釈が多くなればなるほど、その傾向は強まりそうではある。


ギャラリー
  • 『はじめて読む聖書』田川建三ほか
  • 『ブッダという男』清水俊史著
  • 『光る国神霊物語 大悟徹底の手引書』門田博治、花井陽三郎著
  • 『易と人生哲学』安岡正篤著
  • 『ほくろの呼び鈴 父 実篤回想』武者小路辰子著
  • 『『涅槃経』を読む』高崎直道著
  • 『魔女狩り』森島恒雄著
  • 『国史総論』内田銀蔵著(昭和17年)
  • 『私の記録』東久邇宮稔彦著(昭和22年)
  • 『私の記録』東久邇宮稔彦著(昭和22年)
  • 『皇国体の真髄』松永材著(昭和15年)
  • 『皇国体の真髄』松永材著(昭和15年)
  • 『皇国体の真髄』松永材著(昭和15年)
  • 『皇国体の真髄』松永材著(昭和15年)
  • 『韓国 堕落の2000年史』崔基鎬著
  • 『宣戦大詔謹解』朝日新聞社刊(昭和十七年三月)
  • 「小学」(新釈漢文大系 第3巻)
  • 「小学」(新釈漢文大系 第3巻)
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