楽山日記

ヤフーブログから引っ越してきました。特にテーマは決めずに書いてますが、スピ系の文章が多めです。若気の至りでハマってしまった宗教についても書いてます。よろしくお願いします。ヤフーブログの楽山日記と区別するために、ブログタイトルの末尾にLDとつけていましたが、ヤフーブログはなくなったので、末尾のLDも削除することにしました。

夏目漱石との初対面(『和辻哲郎座談』和辻哲郎著)


*初対面
 和辻哲郎の対談集を見ていたら、面白い話があったのでメモしておきたい。なんでも内田百聞は、夏目漱石との初対面の際、ズボン下が袴から出ないようにたくし上げておいたら、次のような次第となったそうだ。
さよならをして起ち上がったところが、足がどうなっているか分からないのです。隣に、控えの間があって、そこに看護婦がおって、長火鉢があったように思うのですが、少しずつそこまで行ったが、とうとう尻もちをついちゃった(笑)。仕方がないから足をさすって、つまり無理にたくし上げたズボン下の所為なのです、だからそのズボン下を下へ降ろしたりしておったら、先生がいつの間にかうしろに来て立っているのです(笑)。「しびれたかね」と云いました。ほうほうの体で帰って来た。それが初対面です。

(『和辻哲郎座談』〈中公文庫〉和辻哲郎著、中央公論新社、2020年、p.342)
 こういう失敗は、その時は恥ずかしくて、顔が火照って仕方がないだろうが、時間が経つうちに上のように良い思い出になるものである。想像するに漱石も愉快だったのではあるまいか。『猫』の執筆中にこんなことがあったら、さっそく作中に取り入れそうでもある。
 漱石には気難しい人のようではあるけれども、その周囲にはこういうほのぼのした面白い話も多いので楽しい。たぶんそれだけ漱石の器が大きいということなのだろう。


釈迦も、老子も、莊子も、聖徳太子も、みんな嘘つきなのか?(『自然真営道』安藤昌益著)


*仰天
 随分前に、安藤昌益の著作を読み、釈迦や孔子を盗人呼ばわりしていることに仰天したのだったが、今回久しぶりに同著者の文章をつまみ読みして、またもや仰天してしまった。
 ある男が質問していうには、「今の世には世界中が嘘の話、虚偽の行いばかりで、真実の言葉や行為がないのはなぜでしょうか」
 わたしは答えた。「儒教の聖人が出て五倫五常などという私法を立て、嘘の話を教えて天道天下を盗んだからだ。釈迦が現れて方便とかいう嘘を教え、人々の上にあがってお布施を貪食したからだ。老子が出て谷神死せずなどと嘘の話をして人々に寄食したからだ。莊子が出て寓言偽言を語って盗み食いをしたからだ。医書を作る人間が現れて、根拠もないでたらめの治療をし、人殺しを業としながら貪食したからだ。聖徳太子が三法なるものを立てて嘘の話を世にひろめたからだ。みんながみんな嘘の話をもって人を教えたからだ。世の人間がすべて嘘を語り、虚偽を行うのはそこに始まるのだ。これらはみな文字・書物・学問のさせたことである。だから天下の災厄だとわたしはいうのだ。

(『自然真営道』〈講談社学術文庫〉安藤昌益著、野口武彦抄訳、講談社、2021年、pp.43-44)

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『ほくろの呼び鈴 父 実篤回想』武者小路辰子著

武者小路実篤

*まえおき
 本書は、武者小路実篤の三女辰子さんによる回想記である。月刊『新しき村』に連載していたものを中心にまとめたとのことである。
 偉人に身近に接した人の思い出話は、その偉人の日常を知る上で興味深いものだけれども、本書も例外ではなく、とても興味深く、かつ面白いものになっている。

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ギャラリー
  • 『はじめて読む聖書』田川建三ほか
  • 『ブッダという男』清水俊史著
  • 『光る国神霊物語 大悟徹底の手引書』門田博治、花井陽三郎著
  • 『易と人生哲学』安岡正篤著
  • 『ほくろの呼び鈴 父 実篤回想』武者小路辰子著
  • 『『涅槃経』を読む』高崎直道著
  • 『魔女狩り』森島恒雄著
  • 『国史総論』内田銀蔵著(昭和17年)
  • 『私の記録』東久邇宮稔彦著(昭和22年)
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  • 『皇国体の真髄』松永材著(昭和15年)
  • 『皇国体の真髄』松永材著(昭和15年)
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  • 『皇国体の真髄』松永材著(昭和15年)
  • 『韓国 堕落の2000年史』崔基鎬著
  • 『宣戦大詔謹解』朝日新聞社刊(昭和十七年三月)
  • 「小学」(新釈漢文大系 第3巻)
  • 「小学」(新釈漢文大系 第3巻)
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