八〇七 夢の中で会った人でも、目がさめたならば、もはやかれを見ることができない。それと同じく、愛した人でも死んでこの世を去ったならば、もはや再び見ることができない。
八〇八 「何の誰それ」という名で呼ばれ、かつては見られ、また聞かれた人でも、死んでしまえば、ただ名が残って伝えられるだけである。
(『ブッダのことば』中村元訳、岩波書店〈岩波文庫〉、1985年、p.181)

仏典を読んでいると、厳しさを痛感することがあります。この部分もそうです。私はまだ、「死に別れた人とは、あの世で再会できる」という考え方に慰めを感じるあまちゃんなので、これほど現実を直視し、それを受け入れていただろう釈尊は強い人だったのだろうと想像します。