*進化論のおもしろさ
しばらく前から、進化論についての本を読むようになりました。自分にはすごくおもしろいです。
どこがおもしろいかといえば、ヒトの心……良心、仏性、道徳、愛などを説明しているところです。
進化論は、神様を持ち出すことなく、ヒトという生物の出現はもちろん、ヒトと動物を分つものとされる……良心、仏性、道徳、愛などの由来までも説明しています。
私は、ヒトの心……良心、仏性、道徳、愛などというものは、神様がヒトに授けたのだと思い込んでいたので、これはとてもショックでしたが、同時におもしろくてたまらなく思います。
*最近の疑問
ちなみに私は、最近は次のような疑問をもっていました。
「どうやら有神論、唯霊論よりも、無神論、唯物論の方が優勢らしい。無神論、唯物論は、神を持ち出さないでも、ヒトの肉体の起源だけでなく、そのもっとも高貴な精神……良心、仏性、道徳、愛の進化についてまでも立派に説明しているのだからかなわない。でも自分はそれを承知しつつも、なおも神の実在をリアルに感じるし、祈らないではいられないのも事実だ。これはヒトの理知を超えたなにかの働きのためとはいえないか。神かそれに準ずる高度な存在からのメッセージという可能性はないか」
私はこの疑問を解決したく思っていたところ、丁度、次の二冊の本を見つけたので読んでみました。
・ジェシー・べリング『ヒトはなぜ神を信じるのか――信仰する本能』
・ニコラス・ウェイド『宗教を生みだす本能 進化論からみたヒトと信仰』
この本の結論を簡単にいえば、ヒトは進化の過程で宗教を信じる本能を獲得、強化してきたとのことのようであり、そうであれば私のように理屈の上では無神論、唯物論が優位にあると認めつつも、本能的には神を信じないではいられないというのは、さほど特異なことではないし、むしろ当然のことでさえあるようです。
これはある意味、無神論や唯物論を否定し、神を強く強く信じれば信じるほどに、ヒトは進化の過程で宗教を信じる本能を身につけたという進化論の正しさを証明することにもなりかねないということだろうし、こういうジレンマを抱かせる進化論は、癪にさわるけど、ゾクゾクするほどおもしろいなと思います。