* 『ファイナル・ジャッジメント』の無料公開について、数日前から、信者ブログで宣伝されています。個人で書いているはずのブログが、いっせいに同趣旨の記事を掲載するというのは不思議な感じがします。 

・大ヒット近未来予言映画「ファイナル・ジャッジメント」無料公開!|HSガンちゃんとレオのブログ
http://gunleo.seesaa.net/article/400965378.html
 
・ファイナルジャッジメント☆|幸福の科学の末端会員【ふろんてぃあ】な日々
http://ameblo.jp/frontier-frontier/entry-11888561030.html
 
・●2012年公開され大ヒットした近未来映画『ファイナル・ジャッジメント』が、YouTubeで無料|*龍馬をサポートするブログ*
http://ameblo.jp/kato33/entry-11888575970.html
 
・絶対正しい自分にファイナルジャッジメント|宇宙と異世界からの幸運の使者ピア健さん・癒しの異次元ブログ
http://ameblo.jp/pianist-kentaro/entry-11888618360.html
 
・大ヒット近未来予言映画「ファイナル・ジャッジメント」無料公開!|~勇気の悩み克服実現~ ☆人生は一冊の問題集☆
http://ameblo.jp/universe-light77/entry-11888672179.html
 
・日本占領を予言した映画「ファイナル・ジャッジメント」が10日間緊急無料公開!|加納有輝彦のブログ
http://ameblo.jp/papadad/entry-11888915775.html
 
・平成松下村塾/幸福の科学・幸福実現党を応援|◆【危機迫る】大ヒット近未来予言映画「ファイナル・ジャッジメント」無料公開!+創価学会/公明党とは。
http://sunshine7.blog9.fc2.com/blog-entry-881.html
 
・大ヒット近未来予言映画『ファイナル・ジャッジメント』を10日間限定 全編無料公開!!|危機に立つ日本
http://blog.goo.ne.jp/eternal-h/e/789057fd72f6d02d569100c5f5843699?fm=rss
 

* 映画の批評・感想を読んでみたくて検索すると、次のページが見つかりました。 

・無宗教者にはキツい「ファイナル・ジャッジメント」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー カゲヒナタのレビュー
http://kagehinata64.blog71.fc2.com/blog-entry-359.html
 


* この映画が何であるか? 意見はいろいろあるでしょうが、上のページにある指摘が図星であるように思います。 
早い話、「映画を利用して幸福の科学の教えを広めよう!」という布教活動の一環と考えて良いでしょう。
「中国脅威論」を煽りたて、「救世主待望論」に日本国民を扇動しようという政治プロパガンダ映画
 


* 次に、今回、『ファイナル・ジャッジメント』を見直してみて、自分なりに思ったことを書いてみます。
 
47分~ 荒磯にいるリンと正悟
あなたや、わたしな小さな人間に何ができる? オウラン軍を倒して追い出せる? 自分の小さな幸せを求める。それ以外にできないよ
これはリンの正悟に向けた言葉です。自分の社会的な役割(使命)を放棄して、自分の小さな幸せだけを求めるのはよくないでしょうが、自分の足下を見ずに、天下国家のことばかり追いかけるのもどうかと思います。
 
48分~ 荒磯にいるリンと正悟
わたし、もう疲れたよ。……正悟、どこかで、遠くで、二人だけで暮らそう。オウランも日本も、政治も宗教も何も関係ない生活をしよう。正悟、二人で逃げよう
俗世間から離れるのは無理でしょう。たぶん。
なんとなしに、夏目漱石の『門』の夫婦を思い出します。
 
60分~ 正悟が悪魔から誘惑される場面
幸福の科学で語られる悪魔は、いつもすごく分かりやすいように思います。でも本当は、救世主を誘惑するくらいの大物は、その姿は美しく、その言葉は正真正銘の真理なんだろうと想像します。
 
66分~ 少女が立ち上がるシーン
これはお決まりだけども、泣けました。我ながら単純だなあと思います。
リンのかたい表情は裏切りの伏線でしょうか。この後、正悟の活動を見詰める表情には、裏切りを躊躇するような表情に見えるものもありました。
 
67分~ 正悟の説法
だから、信じないということは、物事を単に常識だけで考えて、こういう時はこうなると決めつけちゃって、この世のルールに負けてしまうことを意味するんです。一方、信仰心を強く持つということは、この世のルールに負けないということです
希望による信仰は大切ですが、年を取るにしたがって諦観による信仰も同じくらい大切になってくると思います。
 
77分~ 正悟によるリンの説得(面会室? 取調室?)
君の目は何を見たんだ。なぜ本当の自分から目を背ける? その目で見たものが、あまりにも辛かったからか? そんな君を見て、死んだ両親が喜ぶと思うか?
「両親」を「良心」と変えても、意味が通りそうです。
 
79分~ 正悟に対するリンの捨て台詞
寝言はもう聞き飽きた。目に見えないものを信じる奴はは馬鹿だ。私はちがう
「現実を直視しない奴、目に見えたものを信じない奴は馬鹿だ」とも言えるかもしれません。
 
79分~ 正悟に対するリンの捨て台詞
処刑はこの目で見届けてやる。人が死ぬのを見るのは慣れてるから……みんな、同じだ
私は見慣れていないけど、みんな同じだろうと想像します。
死後の世界はあるかもしれませんが、人の死と直面したとき、「死んだらみんな同じ」「死んだらおわり」という感情を持つのは致し方ないことだと思います。
 
81分~ 息子への言葉
今、全てが理解できる。なぜ鷲尾鉄山と友人になり、互いに同じ年の息子を持ち、その息子たちがまた親友になったか。全て神に導かれていたんだ
〝全て〟を神の導きとするのは、運命論みたいなので、こんな台詞があるのは意外です。
 
85分~ 幻覚? リンが亡き両親に慰められるシーン
これは泣けました。
 
106分~ テーマ曲
とても切ない曲です。名曲だと思います。歌声もかっこいいです。歌詞もいい言葉があります。
失われし祖国 断ち切られし過去
振り返れば 廃墟もあった わが心の内
裏切りの中にも 真実が光るのを見た
信じるのも勇気
憎しみを 愛に変えてゆこう
ただ細かいことを言えば、「失われし祖国 断ち切られし過去」ではなく、「失われた祖国 断ち切られた過去」という風に、ふつうにする方が好みではあります。「裏切りの中にも 真実が光るのを見た」という言葉には、遠藤周作の『沈黙』を思い出しました。
 
まとめ
個人的には、幸福の科学の映画の中では、『仏陀再誕』と並んで、もっともいい映画ではないかと思います。また本作では、ウマリ・ティラカラトナの好演が印象的です。表情の作り方が巧みです。特に印象に残ったのは、裏切りの後、正悟と目を合わせられずにうつむくところ(73分44秒)、裏切った仲間たちとの再会を恐れたのか不安気なのが、正悟に手を差し出されて笑顔になるところ(94分9秒)などでしょうか。
あとは、本作では、力には力で対抗するのではなく、説法によって人々を目覚めさせることで平和を実現していることを思えば、幸福の科学および幸福実現党は、力には力で対抗するかのように軍事力増強を唱えるよりは、愛や信仰を説き続ける方が矛盾はなくなるのではないかと思います。
 
 
 
* 追記
映画の登場人物は、リン以外は、おおむね、はじめからおわりまで変わらないようです。正悟は悟りを開くようですが、その前とその後とで激変しているわけではありません。家族を奪われ信仰をすてる人物もいますが、その変化はそれほど詳しく描かれていません。リンだけが内心の葛藤を抱えつつ、主人公たちを騙し、裏切り、その後で改心するという大変化をしています。リンの存在感が際立っているのは、役者の演技力だけでなく、この設定のためもあるかもしれません。
私が幸福の科学の映画の中では、本作と『仏陀再誕』とを面白く感じるのは、どちらにも、人間らしい感情を持ち、悩みを乗り越えて成長する人物が描かれているためなのだろうと思います。勝手な希望かもしれませんが、今度また映画をつくるなら、ぜひとも、はじめから終わりまで、悟った人は悟った人、悪人は悪人という風に変化のない人物ばかりでなく、はじめと終わりでは大きく変わる人、葛藤を乗り越えて成長する人を描いた映画をつくってほしいなあと思います。