宗教と道徳について考えながら、キリシタン関連の本を読んでいたら、次の言葉を見つけました。

すべて最高の善い教えというものは人民が日々に用いる倫理、道徳の他に求める必要はない。
(ハビアン「破提宇子」『東洋文庫14』海老沢有道訳、平凡社、昭和39年、p.315)

若いころは、道徳なんて当たり前すぎて陳腐に感じ、もっと崇高な思想を探したものでした。でもいつの頃からか、ごく普通の道徳を守り、真面目に生きることは大事だなあと思うようになってきました。教えというものは、昔からある、ことわざで十分だろうし、丹波哲郎のいう「あかるく、すなおに、あたたかく」ということにつきるのではないでしょうか。

結局、大切なのは、難しい思想やら、どこかに隠されている秘伝などを追い求めることではなく、誰もが知っている道徳を実践することなのだと思います。こういう結論は、「なーんだ、つまらない」という気がしないでもないですけど、多分、真理というものは「なーんだ、つまらない」というくらいに当たり前のことの中にあるのでしょう。