本の選び方は、おおざっぱに分けると、およそ四つほどあるようだ。
まず一つは、タイトルで決めるという方法である。タイトルをみて、興味をひかれた本を読むという方法である。これは多くの人がやっている、ごく自然な方法だと思う。
二つ目は、著者で決めるという方法である。たしか高橋克彦さんは、好きな作家は全集で読むのがよいとしていた。これは無意識な行動というよりは、けっこう意志の力が要るようなので、万人向きではないかもしれないが、深い読書をしようとするなら大事なことであるにちがいない。
三つ目は、タイトルでもなく、著者でもなく、テーマで選ぶという方法もある。「ビジネス書100選」「推理小説ベスト100」みたいな特集はよくあるし、こういう選び方をしている人はけっこう多いのだろうなあと想像する。
最後は、尊敬する人や友人知人が勧める本を読むというものである。これはもっともよい方法だと言えそうに思う。
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ちなみに自分はどういう選び方をしているかといえば、本が好きになりはじめた頃は、タイトルで選ぶことが多かった。でも高橋克彦さんの意見を知ってからは全集を意識するようになった。
とはいえ、当時は、高橋克彦さんのようにさまざまに考えた上での結論というよりは、単純に「一人の作家の全作品を読破するのはかっこいい!」という感覚的理由も強かった(笑)。
あとは、著者で選ぶとハズレがないということもあった。よく知らない作者の本を読むとちょくちょくハズレがある。でも、お気に入りの作者の本であれば、ハズレはあんまりない。これは自分にとってはけっこうな大事なことではある。
テーマで決める方法については、昔から続けている方法である。「○○ベスト100」という特集も好きである。その中にすでに読んだ本があれば何となしにうれしいものだし、読んでない本があれば必読手帳にメモしたりしてる。そういえば高校時代は、本屋めぐりをして「××文庫目録」をたくさん集めてはよく眺めてた。
四つ目の方法については、自分は読書欲が旺盛だった時期は、人と会う度におもしろい本はないかと訊いていた。今にして思い返せばちょっと失礼だったかなあという気がしないでもないけど、これによる最大の収穫は、ドーキンスの「神は妄想である」と、ツイアビの「パパラギ」だったように思う。どちらも大いに刺激になり、おもしろかった。
本の選び方は、上に挙げた以外にもいろいろあると思う。でもおそらくはどれも一長一短だろう。そうであれば特定の方法だけを最高のものとして、他の方法を否定するのでなく、目的などによってさまざまな方法を使い分けたり、新しい方法を見つけたりすることが肝要なのだろう。
たかが本の選び方に過ぎないのではあるけれど、自分のやり方に固執することなく、どんどん新しいやり方を開発して行きたいものである。〈了〉