このところ、無神論や棄教についていろいろ書いてみたのだけれど、実際問題として、人は本当に神を捨てることはできるのだろうか。どうもそれは無理のような気はする。
たとえば、神は愛であるという。だとすれば、たとえ信仰は捨てて無神論者になったとしても、心に愛がある限りは、神(愛)とともにいることになる。
人は、愛なしでは生きられず、愛は神であるなら、人はどうしたって神(愛)とは縁を切ることはできそうにない。
こういう立ち位置から、信仰について考えてみると、神を信じるかどうかというよりも、愛の有る無しの方がもっともっと大切で、根本的な問題に思えてくる。「神よ、神よ」と祈るだけで隣人には冷淡な人よりも、特に信心深いわけではないけれども隣人には親切な人の方が、神と強いつながりをもっているのだろうし、それならば信仰よりも、愛の有る無しの方が重要ではないかと。
これには、熱心な信仰者のなかには反発する人もいるかもしれないけれども、自分はどうもこういう考え方にリアリティを感じるようだ。〈了〉