*架空の話
もしもこんな館があったなら
世間の人々はどのような判断を下すだろうか?

1. 聖なる館
あるところに大きな館があった
人の出入りはあるものの
その中で何をしているかは、外からはうかがい知れない
そのうちに館について、よくない噂が流れだした

2. ジャーナリストF
ジャーナリストFは、その噂を聞きつけて、館の取材を思い立った
しかし館の住人からは、取材を拒絶された
公道から館の外観を撮影することも許されなかった
カメラを構えただけで
館から何人もの男たちが飛び出してきて妨害するのである

3. 告発者D
告発者Dが現れた
Dは、館の主人の女性関係の乱れなど、その秘密をいくつも暴露した
その中には、館の主人とナンバー2との不仲も含まれていた
これに対して、館の支持者らは、こぞってDの告発は嘘だと否定した

4. 内部抗争
館の主人は、突如として、ナンバー2の批判を始めた
二人の関係は、表向きは円満のようでも
実際は、そうではなかったという
つまりDの告発は、この部分については真実だったのだ
これによって、告発の他の部分についても信憑性は増すこととなった

5. ナンバー2
ナンバー2は、館の内情を暴露した
その中には、館の主人のセクハラをあやしむ発言もあった
館の主人に仕えていた若い女性の中には
何らかの理由で大きなショックを受けて心身を病み
その後は行方知れずになった者もいるという

6. 告発者T
館の主人の弟子だったTが、告発者となった
館の主人は、周囲の女性たちにセクハラを繰り返しているというのだ
しかしTの告発は、裁判では事実だと認められなかった

7. 糾弾者P
糾弾者Pが現れた
上の告発者らの主張はすべて事実だと信じ、その拡散に励んだ
その理由は、
これ以上、セクハラ被害者を出さないための注意喚起であり
館の主人の罪を糾弾するためだという
しかしながら
Pの糾弾活動は、館の主人のみならず
その他の人々にも及んでおり、物議をかもした
根拠不十分、誹謗中傷という批判もある

8. 人権派H
人権派Hが現れた
Hは、Pは嘘つきであり、女性の人権を傷つけていると非難した
だから、女性を守り、Pの嘘に騙される人が出ないようにするために
P批判を継続的になし、注意喚起をしなければならぬという
ちなみにHは、Pだけでなく、Tの告発も嘘、捏造であり
館にはセクハラ問題はないと考えているらしい

9. 継続中
以上の騒動は、現在も継続中である
先頃は、館の女性メンバーの一人が、突然に、表舞台から姿を消したために
彼女が姿を消した理由、今はどうしているかなどの様々な憶測がなされている


*判断
いやはや
上の文章を書きながら
これは誰が見ても、あやしいだろうなあと思ってしまった。

こういう場合
外部の者には
館の内部のことは分からないから余計に怖い

取材も、写真も拒否するというのも不気味だ
公道から建物の外観を写すのを
「それは困ります」とお願いするならまだしも
わらわらと人がたくさん出てきて妨害するというのは怖い

セクハラ疑惑も心配だ
一度だけならまだしも、そういう話が何度も出てるのは気になる
内部事情を知らない者からしたら
セクハラはあるとも、ないとも断言できないわけで
ただ心配するしかない

うーん
やっぱり
もしもこういう館が存在したなら
「あやしい」という感想につきるなあ…。


〈了〉