人は、大体の場合において、自分は正しいと信じているものだし、自分の考えを変えることは好まないものではある。

でもそうはいっても、どんなに批判されても自らの過ちを認めない頑固者が、あっさり考えを改めることもあるから不思議である。

たとえば、カルト信者と議論していると、たまにそういうことがある。
どんな忠告にも耳を貸さなかった熱烈信者が、ある時、あっけないほど簡単に退会宣言をするとか…。

ちなみに、自分もそのクチだった。他から忠告されても、批判されても、退会はしなかったけれども、ある時点で、あっさり退会を決めたのだった。その時は、「いますぐに退会しなければならぬ」と意気込んだほどだった。

当時の心境を振り返ると、小さな疑問が少しずつ積もり重なってゆき、やがてそれが一定レベルを超えた時に、ほんの小さな切っ掛けで大胆な決断を下すことになったのかなあと思う。

ようは、人は変わらない時には、何をどうしたって変わらないが、変わる時にはあっさり、あっけないほど簡単に変わるということ。

なんだかこれだと人が変われるかどうかは、本人の努力や周囲の説得とは無関係のようで、つまらない気もするけれども、実体験からするとこれが現実なんだろうなあとは思う。〈了〉