とあるアイドルグループの動画を見たら、読書が話題になっていた。
「文字だけだと、なんかさあ、眠くなっちゃう」と言う子もいれば、「おもしろかったら、もうずっと読んじゃう」という子もいて、おもしろい。
個人的には、どちらの意見も分かるなあと思う。
ちなみに自分の場合、眠くなる本といえば、谷崎潤一郎の「細雪」がそれだった。でも中盤以降では、おもしろくてずっと読んじゃう本に変わったのだけれど。
スタインベックの「怒りの葡萄」も、それと似た感じだった。冒頭の砂嵐、干ばつの描写では、数ページどころか、数行で寝落ちした。でも物語が本格的に動き出すと、ずっと読まないではいられなくなった。
ああそうだ。今になって気づいたけど、「怒りの葡萄」は、砂嵐ではじまり、洪水で終わってたのだった。このコントラストはすごく鮮やかだ。著者はどういう意図を持ってそうしたのだろう。
他には、私小説も眠くなることが多かった。ただどういうわけか、西村賢太を読むようになってからは、それ以外の私小説もおもしろくなり、眠くなることは無くなったのは不思議ではある。
今現在も眠くなる本といえば何があるかな…「失われた時を求めて」は、昔も今もそのようである。先日は、チラ見しただけで眠くなった(笑)。
眠くならない本といえば、一番に思い浮かぶのは、キングである。たしか宮部みゆきが、キングは徹夜で読むというようなことを言ってるのをインタビューで読んだ記憶はあるが、これには同感である。「シャイニング」「ファイアスターター」「デッドゾーン」「ザ・スタンド」「デスペレーション」「アンダー・ザ・ドーム」など、キングには徹夜してでも読みたいものがいっぱいある。
もちろん宮部みゆきにも、徹夜したくなる作品はたくさんある。あとは、辻村深月にも、そういう作品は多い。「凍りのくじら」「ぼくのメジャースプーン」「スロウハイツの神様」「子どもたちは夜と遊ぶ」「名前探しの放課後」「オーダーメイド殺人クラブ」「朝が来る」など。
こうしてみると、本を読んで眠くなるか、眠くならないかというのは、結局のところ、その本はおもしろいか、おもしろくないかということのようだ。文学的な価値がどうこうというよりは、自分にとっておもしろいかどうか、すきかどうかということ。
上の動画でも、本を読むと眠くなると言ってた子が、「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」の話になると、おもしろいと言ってはしゃいでいたし、やっぱりこれが結論なのかな。