小谷野敦の本を読んでいたら、『嫌われる勇気』について、なかなか辛辣なことが書いてあった。
現在は、右翼本が売れるという。あとは陰謀論、オカルト、自己啓発書などが堅いところである。『嫌われる勇気』などというのは、題名からするといい本のように見えるが、アドラー心理学のオカルト兼自己啓発書である。これは分かる。(『忘れられたベストセラー作家』小谷野敦著、株式会社イースト・ブレス、2018年、p.204)
たしかに自己啓発書には、オカルトというか何というか、スピリチュアル色が濃厚なものがあるし、そういう類のものは多いように感じる。
ちなみに自分は、スピリチュアル系自己啓発本は、わりと愛読していた方だと思うけれども、あんまり読み過ぎたせいか、近頃は食傷気味になってきてはいる。
考えてみれば、最近、「自己変革」という言葉があまり好きではないのも、そのせいかもしれない。「自己変革」には、スピリチュアル系自己啓発のにおいがするので…。
向上心を持つことは良いことだとは思う。心を磨き、人格を向上させるのは結構なことではある。
でも、スピリチュアル系の自己啓発は、根拠に乏しく迷信的だったり、マインドコントロールの気配があったりして、なんとなくあやしい感じがあったりする。
全部が全部そういうわけではなくて、なかには良いものもあるだろうが、この辺りのことは、スピリチュアル系自己啓発本の難点だよなあと思う。