ブラインド・ウォッチメイカー
 本書はドーキンスの代表作だけども、まだ読んでいなかったので、ざっと斜め読みしてみたのだが、自分にとっては程度が高すぎて難しい本である。でもドーキンスの著作はあれこれつまみ読みしているので、見覚えのある論点、お馴染みの話が散見されるのは楽しい。
 自分は迷信深い性質なので、こういう本を読んでどうやら神は存在しないらしいと一時的に思いはしても、また少しすれば神の臨在を感じてしまい、無神論にどっぷりハマり続けるということはできないのではあるが、それでもドーキンスの本を読めば、今自分が生きていること、地球上に奇跡としか思えないほどのすばらしい生物があふれていることなどについて、神を持ち出すことなく説明ができるということは認めざるを得ないように思う。
 とある書物…うろ覚えだけども『パパラギ』だったかな…では、自然は神のものであったが、この木は俺のものだなどという人々のために、神は貧しくなってしまった云々という話があったと思うが、この話に乗っかって言うならば、人々の所有権によって神は貧しくなったように、進化論によって神は創造者としての地位をも失ってしまったと言えるのかもしれぬ。
 自分はもともと創造論者ではなく、生物の進化についてはごく自然に受け入れてはいたのではあるが、そこには神の意思があったのだろうとは考えていたので、神の存在も、その意思も関係なしに、進化は成立しうるというのはやはり驚かないではいられないし、こういう驚きを与えてくれたドーキンスと、ドーキンスの著作を教えてくれた知人には感謝したいと思う。もちろんダーウィンにも…。