スピリチュアルにハマる人、ハマらない人
 しばらく前に読んだ本だが、内容はすっかり忘れてしまったので再読してみた。まず本書の全体の流れとしては、序章から第3章まではスピリチュアルブームが到来している現状(2006年当時)を述べ、第4章以降ではスピリチュアルを信じる人々の心理を分析している。ここでは他の学者の意見を紹介していてなかなかに興味深い。
 たとえば、彼らにとってスピリチュアルはライナスの毛布と同じ役割をしているのではないかとか、自分の抱える問題については、たとえそれが社会、政治、歴史に関わる大きな問題であっても、自分の自己責任ととらえ、自分さえ変われば解決すると思い込んでいたりするとか、またその一方で彼らは自己中心で自分の幸せが第一であることが多く、そのため他者への奉仕に努める宗教ではなく、自己実現のためのスピリチュアルに近づくとか、なるほどと思える指摘が多々あった。
 タイトルについては、著者はあとがきで、「ハマるか、ハマらないかはその人次第。結局は、そう言うしかないようだ」と、あっさり放り出してしまっているのはおかしい。最終的にはそういう結論にならざるを得ないのかもしれないが、そう簡単に開き直られてしまっては、タイトルにつられて本書に興味を持った自分のようなものからしたら、ズッコケてしまわないではいられない(笑)。でもまあ、いろいろな知ることができたし、中盤以降はおもしろかったし、個人的には読んで良かった本ではある。