*素朴な真理
 これは自分にとっては、耳に痛い言葉だ。
本当に必要なのは単純で素朴な真理なのです。新しい大真理ではなく、驚異的な啓示でもなく、新しい神勅でもありません。

(『シルバー・バーチの霊訓(二)』シルビア・バーバネル編、近藤千雄訳、潮文社、昭和60年、p.86)
 以前、自分は、「新しい教えが説かれた」「旧来の思想、宗教すべてを統合する教えだ」「高級霊界からのメッセージ」「△△の霊言」というような新興宗教の宣伝文句を真に受けて、信じてしまったことがある。
 心の教えとは、難しい神学や哲学体系とはちがって、単純、素朴で、誰にでも理解できるものだとか、真理は永遠不変という話は知ってはいた。でもそれでも「新しい真理が説かれた」「高度な教えが説かれている」といわれれば興味を持たずにはいられなかったのだ。「いま、天上界の秘密が明かされる」「××事件の霊的真相を解明する」という話にも釣られてしまった。
 でも、心の教えというものは、古典聖典を開けばいくらでも書いてあるし、日めくりカレンダーにあるような名言名句、ことわざなどでも十分であろうし、そこいらじゅうにあふれていて、改めて教えてもらわなければならないようなものではないのだ。ましてや、どこかの宗教団体だけが独占しているものでもない。
 今になって振り返ってみれば、新興宗教の宣伝文句に惑わされていた自分はつくづく愚かだったと思う。こんなことを書くと、「今だって、大して変わらんだろ」という厳しい意見もありそうだが、一応その後、新興宗教は退会したわけだし、その分だけは進歩したと思いたい。反省。