*エル
「エル」とは神という意味だと聞いたことがあったが、幸徳秋水の本では次のように書いていた。
セミチック諸国民が男根の石像若くは木像を beth-El(神の宮の義)と呼び、或は単に EL(神其者の義)と呼ぶは、此の粗朴真率の精神よりせる者也。(『基督抹殺論』幸徳秋水著〈岩波文庫〉、岩波書店、昭和29年、p.68)[旧字は新字に改めた]
念のため、別のところでも調べてみたが、同じことが書いてあった。
・基督抹殺論 - 国立国会図書館デジタルコレクション(42/82)
以前はこういう話は全然受け付けられなかったし、かなまら祭は珍妙なものに感じたものだったが、よく考えてみれば古代人は新たな生命を生み出す神秘的な力を持つ部分を神聖視し、神として礼拝したという話には一理あるのかもしれない。
神といえば天にあるイメージがあったが、実際には地上における生殖活動に起源を有するのだとしたら、なんとも皮肉な話ではある。これは、「一説によると…」という話に過ぎないとは思うが、覚えておいて損はなさそうだ。