*せきせきれんれん(ネタバレ注意)
GYAO!で、『赤々煉恋』を公開していたので見てみた。
(2020年11月15日(日) 23:59まで)
映画の終わり方については、どうにも納得できないものがあったが、コメント欄を読むと、主人公は最後には成仏しただろうという意見があって、ハッとさせられた。
そう言われてみれば、たしかに主人公は自分のあやまちを自覚し、素直に詫びて以降、いつもの場所にも、自室にも姿を見せなくなっている。とすると、成仏したというのは当たりかもしれぬ。これは納得。
本作は、派手なアクションや、大どんでん返しのような大仕掛けはなく、淡々としていて静かな作品なので、退屈に感じる人もいるかもしれないが、『管制塔』『麦子さんと』『好きだ、』などの雰囲気が好きな人であればおもしろく見ることができるのではないかと思う。またスピリチュアリズム的なことも描かれているので、その方面に関心がある人も楽しめるにちがいない。
*ストーリー
ちなみに映画のストーリーは、おおよそこんな流れになっている。
女子高生の樹里は、自殺して以降、霊となってこの世をさまよっている。他の霊とも、自分が見えて話ができる人とも会えないままに、何年もひとりぼっちで過ごしている。しかし自殺したことを後悔してはいないし、樹里のことでずっと苦しみ続けている実母にはいらついている。
そんな折、樹里はようやく自分に笑顔を向け、話ができる少女(リンゴちゃん)と出会い、それが切っ掛けとなり、実母の気持ちを理解し、自分のあやまちに気づくことになる。
*見どころ
自分にとっての見どころは、次の箇所だった。
樹里は、活発で、明るく、利他的な性格で、人のために犠牲になるのもいとわないのだったが、友達との約束を守れず、裏切ってしまったことから、家にひきこもるようになっていくところ。自分の中の利己心に気づき憂鬱にとらわれるのは漱石の『こころ』における先生に似ている。
母親から信じているといわれたとき、樹里が荒れるところ。自分は信じるに値しないと思い込むほど追い詰められていたのだろうか。
母親に対して冷笑的だった樹里が、母親と同じ立場に立たされたことで、その気持ちを理解したところ。ここは泣ける。
樹里が成仏したあとも、母親も、友達も、樹里のことを思い続けているところ。のこされた者の気持ちが切ない。
この他にも印象的な場面は多くあるし、本作はなかなかの名作だと思う。