*意味
「すべては神の御心のままに…」という祈りは、よく聞くけれども、その意味はこういうことだろうと思う。
「すべては神の御心のままに…たとえそれが私にとって幸いなものであっても、災いであっても、すべて受け入れます」
*テーマ
思うに、これこそが、「ヨブ記」のテーマではなかろうか。
たとえば、岩波文庫の注釈では、このように表現されている。
神のために神を信じきることが可能かということがヨブ記の主題である。(『旧約聖書 ヨブ記』関根正雄訳、岩波書店、2017年、p.167)
これはおそらくは、幸いを与えてくれるから神を信じるとか、災いをもたらす神は信じないというのではなく、自己の利害からはすっかり離れて、「すべては神の御心のままに…」という信仰のことをいっているのだろう。
*現状
こういう心境は、「神は人に幸いは与えても、災いは与えない。災いは悪魔によるものである」という風に、自己の期待願望によって神の御心を限定するのではなく、「神は人に幸いも、災いも与える」として神の御心に枠をはめることなく、すべてを受け入れる覚悟をしなければ到達不可能なのだが、自分はいまだにそこまで辿り着けていないのが現状ではある。こういうことは理屈では分かるけれども、心からそのように思えるところまでは行っていないのだ。こうしてみると、自分は今はまだ招かれてないということなんだろうな。とほほ。