『鬼滅の刃 23』吾峠呼世晴著
 「鬼滅の刃」を通読してみた。その基本設定は予想以上にスピリチュアリズムと重なるところが多かった。たとえば、この辺り。
  • 人は生まれ変わる。
  • 人は単身で生まれ変わるのでなく、ソウルメイトがいる。
  • 利他的な生き方の推奨。
  • 感謝の大切さ。
  • 非難、難詰では、人は変わらない。怒り、自己正当化を生むばかり。
  • 人は、やさしさ(愛)によってこそ変わる。
  • 圧倒的な善意(愛)には誰も抗うことはできない。
  • 自らの罪を悔い、反省をはじめると、守護する霊の姿を見、その声を聞くようになる。
  • 悪いことをすれば天国には行けず、地獄に行くことになる。
  • 地獄は強要されるのでなく、自ら納得して行く。
  • 主人公は決して自分を見失わない。権威、権力、恐怖…などには屈せず、自らの内なる声に従う。
  • 個性尊重。自分らしさを保ち、かつ他人の個性も認める。
  • 愛に飢え、貪欲な鬼は、口が強調された姿となる。その姿はその心によって決まる。
  • その他いろいろ。
 スピリチュアリズム的な世界観は極めて特殊でもなく、多方面に広まってもいるので、「鬼滅の刃」のなかにスピリチュアリズム的なところがあっても別段不思議はないのではあるが、なにはともあれ、スピリチュアリズムに共感する人であれば、血飛沫が飛ぶようなアクションは大の苦手というのでもない限りは、本作に感動できるにちがいないと思う。
 主人公のやさしさに触れて、鬼が自らの罪を自覚し、見失っていた自己を取り戻し、改心していく場面はもちろん、このやさしさは鬼のみならず、仲間たちをも良い方に変えてゆくところは本当に素晴らしく、「愛こそはすべて」ということがよく分かるようになっているし、スピリチュアリズム的な考え方はあちこちに散りばめられているし、スピリチュアルなことに関心のある人にはお勧めの作品である。