「第十四講 ビルダデ再び語る」の要点を抜き出しつつメモ。
  • ビルダデは「頭脳明晰」であり、その意見は「論理は整然」としていて、「さすがのヨブも彼の攻撃に逢いては大いにたじろい」ている。
  • ビルダデのように論理によってのみ判断する人は、神を弁護者としつつ神に対峙し、神を恨みつつ神に仲保者であることを期待し、「神を敵としまた味方とし」、「神を罵りまた神に憐れみを乞う」ようなヨブは、「理性と論理においては迷妄の極」ということになる。
  • 「ビルダデの悪人必滅論はヨブを指した者であることはいうまでもない」。
  • ヨブの苦しみは「産を失い、妻子を失い、難病に悩む類のこと」ではない。
  • 「神は故なくして彼を撃った。神は彼を苦しめている」「彼の最も信頼する者が彼の敵となった。ために彼はこの者を離れんとしている。しかしながら失せんとしている信仰を思いきって棄ててしまうに堪えない」「失せんとするものを保たんとし、離れんとする者を抑えんとす、ここにヨブの特殊の苦しみがある」。
  • ビルダデの放った言葉によって、ヨブの「苦悩は弥増るのみである」。これによって十九章において、ヨブは「友に憐れみを乞うに至」る。
 内村鑑三はヨブをよく理解し思いやっているが、それだけ三友に対して手厳しいことになっている。内村自身、ヨブと同じく深く悩み苦しんだ経験がある故なのだろう。