*積読本発掘
本書はいつどこで購入したのかは覚えてないのだが、我家の積読コーナーで見つけたので引っ張り出してみた。大きさは文庫サイズで、本文と巻末の付録を合わせても143頁の小さな本である。前半は松陰の生涯とその時代についての説明、後半は留魂録とその註釈という構成となっている。奥付によると、昭和18年第7刷(初版昭和15年)とある。
全体を通読してみたところ、自分は次の三点に強く興味をひかれた。
*松陰とイエス
まず一つ目は松陰とイエスとを並べて論じているくだりである。これは意外な組み合わせにも思えるが、一読してみるとたしかにこういう見方も可能かもしれぬ。
*天皇
二つ目は天皇に随順することについての記述である。自分にはよく分からぬ論理ではあるが、考え方の筋道はどうにかして理解したいとは思う。
*至誠と言葉
三つ目は「至誠而不動者未之有也(至誠にして動かざるものは未だこれあらざるなり)」という言葉である。松陰はこの言葉に突き動かされてあのような生涯を送ったのだとすると、言葉というものはやはり非常に大きな力を持っているということだろう。
残念なことに、自分の言葉はどうしようもないほど軽いのではあるが、今後はもっと言葉を大切にしたいと思う。また前に読書を中断したままになっている『講孟箚記』ももう一度はじめから読み返してみたい。