『プロテスタンティズム』深井智朗著

 プロテスタントにはさまざまあると聞いてはいても、それぞれの特徴、区別はよく分からなかったので本書を読んでみた。主に前半はルターの宗教改革について説明されており、後半はプロテスタントを古プロテスタントと新プロテスタントに分けつつ、前者と後者の特色、政治との関わり方について語られている。おおまかに言えば、前者は権力との結び付きが強く「支配者の教会」であり、後者は「自発的結社としての教会」ということになるらしい。
 それにしても、この種の本を読むたびに思うことだけども、宗教とは結局のところ神の働きによるというよりも、人々の願望、社会的要請などによって生じ、広まってゆくもののようだ。
 でもよく考えてみれば、この種の本は宗教を内側からでなく、外側から説明するものであるし、宗教の教義、歴史的事件、社会的影響などについて書かれてはいても、信者個々の宗教的体験、霊的な諸事情、心理的影響などについてはあまり掘り下げて書かれてはいないことが多いのだから、そういう感想を持つのも当たり前か…。