*期待通り
最近は小説ばかり読んでいたのであるが、ひさしぶりに哲学の入門書を読んでみた。この著者なら、きっと面白いに違いないと思った通りの本でよかった。
特に印象に残った箇所をいくつかメモしておきたい。
*聖書の注釈
まず一つめは、「西洋哲学は聖書の注釈」(p.27)という言葉である。西洋哲学の基礎にはキリスト教があるという指摘はよく聞くが、これはそこからさらに一歩踏み込んでいるようで、ハッとさせられた。
*因果応報
もう一つは、因果応報についての話である。
「悪い結果は必ずしも悪い原因が起こしているわけではない」とイエスはこれを否定したんです。(『聖書を読んだら哲学がわかった キリスト教で解きあかす「西洋哲学」超入門』MARO著、日本実業出版社、2021年、p.128)
恥ずかしながら、自分はいまだに因果応報的な発想から抜け出せていないので、二千年前にはすでにこういうことが説かれていたというのは驚きだし、感動しないわけにはいかない。
*人それぞれ
三つめは、「人それぞれ」ということである。
真理に至れないことがわかったから価値観は「人それぞれってことにしよう」というのが現代社会の一つの答えなのだと思います。(同上、p.231)
これはまさに自分の考え方だ。人に真理は分からないのであれば、せいぜい「私はこれが真理だと信じています」と言えるくらいで、「これこそ真理だ。みな、この真理に従順でなければならない」と言って他に強制することはできないと思うので…。多分こういうことは宗教の信者でもなければ言えないだろう。
*またかよっ!
最後に一言。
本書では「~んです」という語り口が多用されている。これには、はじめは違和感があったけれども、どういうわけか、しつこく繰り返されるうちに、「またかよっ!」とツッコミを入れたくなるほど愉快な気分になってしまった。
本書では「~んです」という語り口が多用されている。これには、はじめは違和感があったけれども、どういうわけか、しつこく繰り返されるうちに、「またかよっ!」とツッコミを入れたくなるほど愉快な気分になってしまった。
これは意識的なものか、ただの口癖かは分からないが、独自の語り口があるというのは微笑ましくて、いいもんだなと思う。