人は万物の霊長であり、地上でもっとも優れた存在であるとする考え方があるが、本書ではこれは間違いであることを豊富な事例によって明らかにしている。これを読むと、人は動物とは別個に、はじめから完成品として、この形で出現したのではなく、両者は連続していることがよく分かる。
*死と生
また本書の末尾では、死があるからこそ淘汰が作用して進化が生まれるが、もし死がなければ淘汰も進化もなく多用な生物が生まれることもないとして、死による生というある意味残酷な見方が語られている。
この辺りの理屈は分かり難くはあるが、生あるものは必ず死ぬ、死と無縁の生はないということは分からないでもない。でももしこれが真実であるとすると、「宗教で言われるような『永遠の生』なるものは、果たして本当の生と言えるのか? むしろそれこそが死ではないか?」という気がしてくる。もっともこれは答えのない問いであり、考えても詮無いことだろうけど。