『かがみの孤城』辻村深月著、ポプラ社

 ツイッターで本作が話題になっていたので興味を持ち、読んでみた。あらすじは、不登校の中一女子が鏡の向こうの世界に行き、同世代の男女と交流しつつ、成長するという話である。物語が大きく動き出すのは後半に入ってからなので、前半はややじれったいところはあったが、物語世界の全体像が明らかになってからは大きな感動があった。涙涙。最後は悲しいけれども、綺麗な終わり方であり、読後感はよかった。
 それにしても本作に限らず、小説の主人公はどうしてこんなにも繊細なのだろう。主人公がものを考える人でなければ物語がまわらないのは分かるが、中一でこれほどの思考力はすごい。それに比べると、自分が中一だったころは本当に何も考えていなかったと思う。もっともこれは当時はあれこれ考えていたのを忘れてしまっただけなのかもしれないけれど…。
 もしそうであるならば、それだけ自分は大人になったということなのだろうな、大人とは子供時代の記憶を失った人のことだとすれば。