「和解」志賀直哉著

 志賀直哉の「和解」を読んだ。本作は主人公とその父親の確執と和解をつづったものだが、自分には父子関係のあれこれよりも、主人公の悠々自適な生活ぶりが印象的だった。これには志賀直哉の創作方法を聞いた芥川龍之介のつぶやきを思い出さずにはいられない。
 ところで、今回は「精選 名著復刻全集」の『夜の光』に収録されているものを読んだのだが、やはり戦前に発表された作品は旧字旧仮名遣いで読むと味わいがあってよい。これまで志賀直哉の作品は新字新仮名遣いのものばかり読んでいたので、余計にそのように感じるのかもしれない。このような復刻版はもっと増えてほしいし、そうでないとしても旧字旧仮名遣いで発表された作品はそのままの形で本にしてほしいものだ。