「小学」という書名は聞いたことはあっても、内容はまったく知らなかったので、試しに現代語訳と解説の部分を中心にざっと眺めてみた。
序盤は日常の決め事が並べられていて、聖書の細かな規定が並べられている箇所を読むときと似た気分になってしまったが、先に進むに従ってさまざまな逸話や教訓が語られるようになってきてからは興味深く読むことができた。
また「孝」というものは、いわゆる毒親ではなく、まともな親を前提としているという解説は説得力があった。孝の大切さは承知しつつも、随分と理不尽な面もあるように思っていたが、これなら理解できる。
(『新釈漢文大系 第3巻 小学』宇野精一著、明治書院、昭和51年)
(同上)
もしかしたらこれは封建道徳に批判的な戦後の風潮に迎合した考え方ではないかという気はするが、おそらくこれが現代ではもっとも穏当な解釈であり、多くに理解しやすいものなのだろう。