本書には、田川建三のインタビューと、山形孝夫、池澤夏樹、秋吉輝雄、内田樹、山我哲雄、橋本治、吉本隆明、山本貴光の聖書に関連した文章が収録されている。
自分は田川建三の名にひかれて本書を手に取ったので、その半生を語ったインタビューを一番に読んだのは当然として、その他には内田樹によるレヴィナスについての文章には強く興味をひかれた。ユダヤ教は自分にとっては縁遠いものだったのだが、氏の文章を読んで、それがどういうものなのか知りたくなってきた。
*新旧
大方の聖書の入門書には、聖書には新約聖書と旧約聖書があると説明しているせいか、キリスト教とユダヤ教についても何となしに新旧に分けてしまいがちではあるが、これは偏見であってその中身については古いも新しいもないのかもしれない。
福音書にあるイエスの言葉にしても、一見したところでは、斬新で、ユダヤ教の枠を飛び越えているように見えたとしても、実際にはすでにユダヤ教で説かれていたことだという指摘もあるし、そもそも真理というものは永遠のものであって、古いとか、新しいとかいうものではないのだ。
とりあえず今後は、ユダヤ教に関連した本も少しずつ読んでみることにしよう。